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意表をつかれました。サロネン&フィルハーモニア(5.31) [音楽]

5.31 サントリーホール
エサ=ペッカ・サロネン指揮 フィルハーモニア管弦楽団
ムソルグスキー:はげ山の一夜(原典版)
バルトーク:中国の不思議な役人(組曲)
ベルリオーズ:幻想交響曲

好きなフィルハーモニアの来日ということで、ヒラリー・ハーンも聴きたかったけど、あえてわたし好みのこちらのプログラムをチョイス
サロネンを生で聴くのは初めてだ。ってか、若い!とても50過ぎには見えない。

まず、「禿げ山の一夜」…なんかヘン?音が違う?
しばらく聴いてどうやら違うバージョンらしいと気づいた。後でプログラムを買ったらこちらがムソルグスキーの原典で、一般的に演奏されているのはリムスキー・コルサコフによる編集とのこと(そう言えばそんなこと聴いたことあったような…)

ちょっとやり過ぎじゃ、リムスキーコルサコフよ。
こちらのほうがより民俗的な響きで私好み〜。

そして「役人」もうさんざんベジャールで聴いてますが、生は初めて。
冒頭の弦のざわめきが、まるで大勢の人の声のざわめきのように響く。怪しい都会の雑踏。こういう体験はナマならでは〜。金管セクションが良くて、とても思い切り良く盛り上げる…
…と思ったら役人が娘を追い回すところでぐわーと終わっちゃった???

えええ?

これまた後で買ったプログラムによると、組曲版なので最後がカットされていると…最後カットするって有りなのかバルトーク???これでは役人が終了〜できないじゃないかい?なんだか気持ち悪いよ〜
と、色々意表を突かれた前半でした。

後半の幻想は、改めてこの曲気持ち悪いなと思った次第。

だって「病的な感受性と激しい想像力に富んだ若い音楽家が、恋の悩みによる絶望の発作からアヘンによる服毒自殺を図る。麻酔薬の量は、死に至らしめるには足りず、彼は重苦しい眠りの中で一連の奇怪な幻想を見、その中で感覚、感情、記憶が、彼の病んだ脳の中に観念となって、そして音楽的な映像となって現われる。愛する人その人が、一つの旋律となって、そしてあたかも固定観念のように現われ、そこかしこに見出され、聞えてくる

ですよ。おかしいだろ。しかもこの解題を必ず演奏会で配るよう指示したそうですから、相当やばいですベルリオーズ。サロネンの指揮は、ところどころ不穏な「タメ」を作って、聴く方に不安感を与えているような気がした。美しい恋のときめきを描いた第一楽章でさえ、ところどころ病的な何かを感じたのはさすがだなと。
最後はかなり威勢良く終了、観客もかなり盛り上がって終わりました。

で、何度もオベーションのちアンコール

シベリウス:悲しきワルツ

あれだけ派手に終わった後でこの地味目な小品を持って来るあたりが小憎いです。


ワーグナーローエングリン 第3幕への前奏曲
これはかなりかっ飛ばして終了。トロンボーンの抜けるような透明感ある音色が実にノンキにヒロイックでよし。

色々と新しい発見があったコンサートでした(自分が無知なだけでは…)。
しかしサロネンはさすがですねえ。ウィーンフィルとの来日公演も行きたいけど、資金が…ぐぅ。

シャルルマーニュの末裔!て! [音楽]

こんな企画を発見して腰が抜けそうです御大。
俳優のCHRISTOPHER LEEがヘヴィー・メタルのアルバムをリリース

こちらがmyspace上のサイト。あのお声で歌っておられます…クラクラ…
http://www.myspace.com/charlemagnemusical

しかも、リー様は母方の血筋からほんとにシャルルマーニュの末裔だそうです。ひょええ
3/15発売らしいぞ!Watch this space!

NHKニューイヤーオペラコンサートと全国の皆さんへ [音楽]

毎年、お寒い紅白歌合戦調のMCと装置照明で、観たことを後悔するこの番組ですが、おっと思う日本人歌手は結構出るのでつい見てしまうわけなんです…藤村実穂子さんが休演って時点でかなり下がったわけなんですが…

楽しみにしていた波多野さんはやっぱりちょっと紅白歌合戦ホールには声が細かったかのう…っていうか全然バロックの演奏が出来てねえよオケ…(涙)

しかしそんなことは次に比べれば問題ではなかったのだ。

歌劇“アルタセルセ”から“わたしは揺れる船のように”  son qual nave ch'agitata ブロスキ作曲

これはもうほんと名誉毀損モノだ。新年早々グランパスに続いてブチギレですよ。
NHK地上波を観ている全国津々浦々の善男善女のみなさん
「ほお〜これがカストラートっつうもんがね〜」こいがバロックオペラかね〜
って思ったらどうしてくれるのよ!!(涙)ファリネッリの名を汚したね!まあ、彼の名前が出なかったのは不幸中の幸いですが、兄の名は出たな…。
だいたい、元の音がろくに取れてないのに装飾付けてどうすんだよ!!プンスカ!(号泣)
正直、聴くに耐えませんでした。
彼が、エコーとかかけたクロスオーバー癒し系音楽でいくら売れようと私は一向に気にしませんが、頼むからまともなオペラ歌手として、まるでカストラートの芸術の代弁者のように振る舞うのは辞めていただきたい。
もし、この番組を見てこの曲に興味を持った方がいたら、少なくとも下記の「一流歌手」のみなさんの歌唱を聴いておいていただきたいと切に願います。これでも、ファリネッリの芸術の再現にはほど遠いと思っています。
ドスの効いたバルトリさん


男性代表でフランコ・ファジォーリさん


…と、話戻して、その後の望月さん@モーツァルトは本当にほっとする出来だったのだが、やっぱもうちょっと痩せよう…もったいないぞ…

しかし、何より私の心を癒してくれたのは吉田都さんでした〜
舞台上なのにハイビジョンテレビ、という悪条件下、オペラ歌手の皆さん、きれいな方までもあちゃ〜な映り方になっちゃってる中で、
完璧ジュリエットでした。
年齢のことを言うのはアレですが、この方の実年齢を考えたら奇跡のような映像です。お肌がきれいとかそういうことではなくて、全身が「恋する14歳の乙女」でした。すごすぎる。
ああっここだけ録画するんだった〜〜〜!!来年のロイヤルバレエ来日公演のチケット争奪戦は死闘となるでしょう…わたしは命がけで行かせて頂きます。

その後の歌はもう全部割愛でいいや…
あっ佐野さんはよかったんですが毎年トスカな気がするのでたまには違うもの歌ってほすぃ…

最後に、今年の衣装デザインした奴はほんとない。小林幸子か。

新春一枚目 [音楽]

NHKのクラシック年越し番組で初めて来年がマーラーの生誕150年だと知りましたが、そんなわけで2009年最後はシャイーのマーラー一番だったので、ついでというか目出たそうなのでコレ。





音はネットで聴いてはいたのですが、このシトの場合やっぱり映像で観ると、どれだけ音楽を把握しているかが見えておもしろい。LAフィルはもうちょっとやっぱり音に重みが出ないもんかな〜って思いますが…
おまけに"Benvenido Gustavo!"ってドキュメンタリーがついています。就任にまつわる大騒ぎを記録したものですが(苦笑)、やっぱこの盛り上がりヘンだって。
ハリウッドボウルのあれについてはまあ、本人も「いいじゃん」って感じみたいですね。まあ、そのための無料コンサートですからあのノリに文句を言うのは野暮でしょう(←言ったくせに)。
クラシックに対して構えている人については「沈黙」がネックになっているのでは、と言った上で「それも音楽の一部だと思って楽しんで欲しい」と、なかなかいいことを言っていましたけどね。
まあ、もうちょっとLAフィルについては様子見で…

で、私が行こうと思っていてやめた公演を録画していた人がいた模様。
この位の席で2万とか取られようとしていたのだから辞めて正解だとも思うが、音を聴くとちょっと惜しかったり…


BCJ「リナルド」 [音楽]

2009.12.6 オペラシティ コンサートホール
指揮:鈴木雅明

リナルド:ティム・ミード(カウンターテナー)
アルミレーナ:森 麻季(ソプラノ)
アルミーダ:レイチェル・ニコルズ(ソプラノ)
アルガンテ:萩原 潤(バリトン)
ゴッフレード:クリストファー・ラウリー(カウンターテナー)
ユスタチオ:ダミアン・ギヨン(カウンターテナー)
マーゴ・クリスティアーノ:上杉清仁(カウンターテナー)
シレーナ1:松井亜希(ソプラノ)
シレーナ2:澤江衣里(ソプラノ)
アラルド:中嶋克彦(テノール)

管弦楽:バッハ・コレギウム・ジャパン

BCJがこれをやると聴いた去年から「果たして真面目なBCJにこの豪華絢爛な魔法オペラをできるのか?」という不安と期待半々で待っていました。思い入れのあるオペラですが、実は実演は初めて。

結論から言うととても良かったけど、やっぱり舞台でやってほし~~~~(泣
このハデハデしく仕掛け満載なオペラをなぜに演奏会形式で…新国とかでがっつりやっておくれ~

とはいえ、演奏は素晴らしかったです。はなからヤーコプスみたいな艶っぽい音は期待していないので、BCJの個性の中で華やかに演出してくれて満足です。特に効果音で大活躍のパーカッション、まさか『風マシン』まで出してくれると思わなかったので嬉しかったです。
"Venti Trubini"でヴァイオリンソロを聴かせてくれたコンミス若松さんや、"Vo far guerra"で思いっきりカデンツァきかせてくれた鈴木(優人)さんなどソロも光っていました。
ただ、(わたしにとって)超超超肝心の"Or la Tromba"でトランペットがいまいちだったのは切ない。まったく歌声と張り合えていませんでした…残念無念…

で、ソリストですけれども、何はともあれ題名役のティム・ミード!
思春期の高校生みたいな顔していますがすばらしかったです。出て来た瞬間「お、オーラねえ…」って思ったことは思いましたが、さすがイギリス人、役が入ると堂々たる英雄になってくれます(イギリス人の歌手にはそう言う人が本当に多いな…)。演奏会形式で楽譜を見ながらこれほど役に入った芝居をしていたのは彼だけでした。声は柔らかくドラマティックでオペラ向きだし、舞台映えもしそう。他のBCJ常連のCTたちはやはりどちらかというと宗教曲系という感じがしましたので、比べても抜きん出ています。対するレイチェル・ニコルズのアルミーダも素晴らしい迫力と技巧で聴かせました。ラウリーとギヨンのふたりは、そういう意味では少し弱かったですが歌は申し分なし。残念ながら上杉さんはそこまで達していませんでした(なんかこう、消極的な歌い口というか)。声はきれいなのにもったいないです。
…と、気がつけばひとつの舞台に4人のCTが揃うという、ひょっとして日本では初なのでは?という現象もなかなかないので嬉しかったですね。

アルミレーナの森さん(お衣装のセンスはいつもいいですね)はポッペアで聴いた時より細く感じました。ヘンデルだとオケ負けしちゃう?なぜかそこまでアリアでも拍手なしできていたのに彼女の"Lascia chi'io Pianga"で突然拍手が出たのは何故ゆえに???
不満だったのはアルガンテの萩原氏。オペラシティって反響がつよすぎるので元の声がしっかりしてないと残響だけみたいに芯のない響きになってしまうんだけど、王の貫禄いっさいなし。
レイミーのアリア集でバロックオペラに開眼した、アルガンテのアリアにはとても思い入れのある私なので、たいへんがっかりでした。脇役でもちゃんとキャストしてほしい!

とは言え、本当に日本で本格的な古楽オペラというのは大変貴重な経験であり、行って良かったと心から思えました。私は本当にバロックオペラ好きだなぁ~と。
ああ、もっと観たい…

「リナルド」の映像って今も昔もオールデンのイッちゃってるミュンヘン版by熊さんしかないんですね。私はこれ嫌いじゃないけど、それも寂しいな…

↑やっぱトランペットにはこのくらい歌と張り合って欲しいのよ…(モダンだけどさ)

ドゥダメル&LA PHIL [音楽]

オープニングコンサートの模様が10/15までオンデマンドで配信されています。
http://www.kusc.org/classical/ListenNow/ArchivePodcasts/DudamelInaug.php

マーラーはやはりさすがに聴かせますね。
やっぱなんかちょっと音軽いような気がしますが>オケ
しっかし、ここの客はほんとになんつうか…もちろんハリウッドボウルよりはだいぶましですが…

これによると、このコンサートのマーラー1番がituneでリリース、さらにコンサートのDVDもDGから発売予定だそうです。なんだかLAはじゃかじゃかメディア出してきそうですね。
でも、地道にヨーテボリとの契約も延長したそうなので、やっぱ夏場にこっち聴きに行くしかないかな。

先日のスピーチ貼っておきます


実に複雑なドゥダさんデビウの感想 [音楽]

ってなわけで、取りあえず第一部は流しっぱなしで第二部だけちゃんと見たわけですが。
http://www.laphil.com/
(このコンサートの様子は、今日日本時間の3:00から24時間だけオンデマンドで見られます

じつにフクザツ…
ハリウッドボウルの観客が楽章間で拍手かますのまでは覚悟していたが、まさか第四楽章の合唱の途中(パウゼが入るところ)で拍手と歓声出すとは思ってもいなかったのだが、それは本題ではない。

第九の演奏自体はよかったですよ。まあハリウッドボウルですから音は散るしマイクもあるし(合唱で音が割れてた…)PCの音だし決してベストな状態ではないですが、こちらが「ドゥダメルとLAフィルの第九」で期待するものは見れたと思う(それ以上にはやっぱりこの状況下ではなり得ないとも思う)。

んーしかしやっぱり複雑な心境。

いいと思う点
・アナウンスとかサイトとか字幕とか、はたまた一部のゲストの喋りまでスペイン語まじりという環境は、本人に取ってはとてもセカンドホームとしてはやりやすいだろうと思う。本人スピーチも途中で感極まってスペイン語になってたけどちゃんと反応あったし。
・いきなりヨーロッパの老舗オケなどに行って色々なしがらみや伝統に潰されるよりは、LAのような土地で成長してもらってからのほうがいいんだろうなとも思う
・本人の「南も北も中央もない、アメリカ」「ラティーノでありベネズエラ人であることを誇りに思っている以上に、『アメリカ』人であることを誇りに思う」という感動的なスピーチからも伺える「アメリカ大陸」意識は、よそ者には分からないものがあるんだろうなと…

でもさ〜正直言うとやっぱり「アメリカ(USA)に取られるのヤダ」だなぁ。
そもそも日本人がグチるの間違ってるけど、ドゥダメルを生んだのがベネズエラなら、指揮者ドゥダメルを「発見」してここまで「引き上げ」きたのはヨーロッパ音楽界じゃないですか。彼の指揮者としてのメンターはアバドでありラトルじゃん。っていうかやっぱりクラシカルミュージックはヨーロッパが「本物」なんで、絶対に今後はアメリカに落ち着くんじゃなくてヨーロッパを志向してほしいんだな。

で、すごく怖い点
・この余りにもショーアップされた歓迎ぶり、セレブまで巻き込んでの(ハービー・ハンコックはまだいいがなぜジャック・ブラックとアンディ・ガルシアが…)花火付きパーティ。彼が「優れた若手指揮者」ではなくて、アメリカショービズに「スター」として絡めとられてしまうのがコワイ。
・アメリカってやっぱりちょっと世界の中でも特殊な「別世界」を形づくっているから、そちらに根付いてしまうのがコワイ

っていう感じですね〜…

ちなみに、本格的なコンサートシーズンのプレミエは8日です。

最後の花火の模様を早速tubeにアップしている人がいた。

(念のため、これはアンコールで、さすがに本チャンの演奏中には上がってません)

SBYO@ROH動画など。 [音楽]

昨日からの流れで久々にYoutubeチェックしていたら、4月のSBYOロンドン公演関連が出て来ました。

風呂上がりアタマ笑う…


そして、私が超聴きたいと思っていた「春祭」リハーサルですけど。


こ、これはスゲェ…間違いなくたくさん生け贄死んでそうです。ぜひ次はこれを録音してほしい。

あっちなみに本日っていうか明日午前中放送のハリウッドボウルは第九デス。

ドゥダメル就任記念コンサート@ハリウッド・ボウル [音楽]

明日開催される無料(!)コンサートの模様がどうやら中継されるみたいですね。
LAの午後3時かぁ〜

しっかし、もう行かないぞ!とは決めたものの、ゲームまで作っちゃってるこの盛り上がりっぷりを見ると(iphone持ってる人今度見せてください)ちょっと「就任初年」は楽しそうな気もして来てフクザツな心境デス…

っていうかカ○○トさん、間違いメールばっかり送ってないでちゃんと呼ぶように!

サイトウキネン・フェスティバル「戦争レクイエム [音楽]

2009.8.28 19:00 長野松本文化会館
ソプラノ : クリスティン・ゴーキー
テノール : アンソニー・ディーン・グリフィー
バリトン : ジェイムズ・ウェストマン
合唱 : SKF松本合唱団/東京オペラシンガーズ/栗友会合唱団
児童合唱 : SKF松本児童合唱団
演奏 : サイトウ・キネン・オーケストラ
指揮 : 小澤征爾

私と「戦争レクイエム」は結構長い付き合いだ。
クラシックのCDを自分で買い始めた頃、なぜかブリテンの自演盤を買って圧倒された。
その後、デレク・ジャーマンとローレンス・オリヴィエに出会い、当然のようにデッカから出ていたDJ版映画のLDを買った(たぶん、ショーン・ビーンを知ったのはこれかカラヴァッジオ)。
ずっと後になって、ブリテンそのものが大好きになってから、留学することになった大学が偶然コヴェントリーの近くで、初演の地である大聖堂に行った。その年の休戦記念日、そこでは残念ながらヴェルディのレクイエムが演奏されたので(ま、毎年これをやるわけにはいくまい)、バーミンガムに初めてこの作品の実演を聴きに行った。そのコンサートの詳細はあまり覚えていないけれど、素晴らしい演奏だった。
というわけで、日本では非常でレアであるがゆえに基本、実演の機会は逃さないことにしている(今年春にすみだでやってたのには都合が合わず行けなくて残念だった)、わたしに取っては「モツレク」「ヴェルレク」と並ぶ、いや頭ひとつ出ていちばん大事なレクイエム。ソリスト陣や合唱に多少の不安はあったが…

改めてこの作品の真価というものを噛み締めることの出来るクオリティの高い演奏だったと思う。
結構重要なオケの配置は、指揮者を中心にして円状にに室内楽、その外側にフルオケという構造。テノール&バリトンは指揮者の前、ソプラノは合唱の後ろの「特別席」という具合になっている。
少年合唱は舞台にあげるんじゃないかとちょっと不安だった(ほら、モンスターペアレンツとか…)が、天井近くの見えないスペースに(2階後方だったのでちらりと見えた)。

結論を言うと、神棚ものの名演ではないが「この作品は大傑作である」ということを改めて実感させてくれるよい演奏だった。ちょっと鳴らし過ぎかな、って思うところもあったが、ガリーナ・ヴィシネフスカヤやアメリカ初演を振ったロストロポーヴィチと親交がある小澤の意気込みが十分に感じられた。

歌手陣は正直、まず国籍がアメリカ&カナダ人じゃあなあ、という拘泥はあるものの(英独ソとは言わないけど、せめてアメリカ人なら日本人を組ませてみるとか)、ゴーキーとディーン=グリフィはさすがに聞かせる。バリトンのウェストマンが弱かったのが残念。
合唱と少年合唱はかなり良い出来。ただ、やっぱり『少年』の割合が少なくて残念である。もう少し、聖歌隊的な透明な響きがほしいというのは贅沢かなあ。
オーケストラは何と言っても小編成オケの細かな音作りと技術に唸る。ホルンがうまいなと思っていたら何のことはないバボラークだった(←プログラム見るまでいるのを知らなかった)。詩情あふれる響き。
DJの映画の刷り込みもあるけれど、この音楽ほど実際の光景が鮮やかに脳裏に浮かぶ音楽もなかなかあるまい。フランドルの平原の夜明け、塹壕の闇、夜空を染める爆撃の閃光、ティンパニが呼び起こす迫撃砲の響き、全てが雄弁でそれでいて美しい。
「怒りの日」の、その終末的ヴィジョンを人類が初めて目の当たりにしたのが第一次大戦ではなかったか。そして、「君が殺した敵」と相対すことを許す最後の戦争が第二次大戦でもあったかもしれないと思う。
ただ、これは確かにふたつの大戦を念頭に置いて書かれたものだけれど、DJの映画がヴェトナムやフォークランドに言及しているように、大戦以降のあらゆる戦争についても哀しいことに有効な鎮魂歌であり、現代に最も必要なレクイエムであると改めて思わされた。
もし、もうこの世の中でレクイエムはひとつしか演奏しちゃいかんなんてことになったら人類はこれを遺すべきだと思うね。

"Let us sleep now"と"Requiem Eternam"が交錯する幕切れは美しく悲壮な祈り。
会場はしばしふさわしい静寂に包まれた。
特にこの作品を知らなくて聴きに来た小澤ファンや常連がいたとしても、何かを感じて帰ってくれたことを祈る。
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